福島正則
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略歴
永禄4年(1561年)、現在の愛知県海部郡美和町で生まれる。母が豊臣秀吉の叔母だったため、その縁から幼少より秀吉に仕え、天正6年(1578年)
に播磨三木城の攻撃で初陣を飾る。
天正10年(1582年)の山崎の戦いの軍功で500石、天正11年(1583年)の賤ヶ岳の戦いのときは一番槍・一番首として敵将・拝郷家嘉を討ち取る大功を立て、
賤ヶ岳の七本槍の中でも突出して5000石を与えられた(他の6人は3000石)。その後も秀吉の主要な合戦の多くに参戦し、天正15年(1587年)の九州征伐ののち、
伊予国今治11万石の大名に封ぜられる。
文禄元年(1592年)からの文禄の役では五番隊の主将として多くの諸将を率いて活躍。文禄4年(1595年)に尾張国清洲
に24万石の所領を与えられた。豊臣秀吉死去後、武勇を誇る正則は、文治派の石田三成と反りが合わず徳川家康の養女と正則養子の正之の婚姻が結ばれ家康との親密を深めていった。
関ヶ原の戦いでは、東軍として上杉征伐から出陣し、本線では宇喜田秀家隊を
打ち破り東軍勝利に貢献第一とされ、広島安芸49万8200国の大封を得た。江戸幕府成立後も幕府に忠勤に励む一方、豊臣家を主筋に立てることを忘れなかった。
しかし元和5年(1619年)、台風による水害で破壊された広島城を無断でほんの少しだけ修理したことが武家諸法度違反に問われ信濃国川中島四郡中の高井郡高井野藩、
越後国魚沼郡、4万5000石に減封される。寛永元年(1624年)、高井野で死去。享年64。
福島正則とは
加藤清正の項でも書いたが福島正則は、清正と同じく豊臣秀吉の数少ない親族であり、
秀吉が小姓から取り立てた子飼いの武将である。賤ヶ岳の戦いで抜群の戦功を立て、5000石という破格の待遇を得て、秀吉の小姓では突出していた。
正則は、勇猛果敢な武将で携わった戦で常に抜群の戦功を立てており、同じく秀吉子飼いの加藤清正と功名争いを繰り広げていた。この辺で官僚型の石田三成とは反りが合わなかった。
秀吉存命中から三成に不満があった正則は、秀吉死去後豊臣家を取り仕切る三成が豊臣の天下を盗もうとしているように見えたのだろう真っ先に徳川家康側に付いている。
結果秀吉政権の主だった諸侯は家康側に付くことになり正則が関が原の戦いでも先陣を斬る形で決着がついている。
正則はこの功で安芸広島に大封を得ておりここから正則の悲劇が始めるのである。安芸に入った正則は、領民の負担を軽減する政策を敷いており善政を行っている。しかし
幕府からの度重なる普請要請に忠実に従い徐々に不満を爆発させていく。名古屋城の普請の際、加藤清正に不満をもらし清正に「そう思うなら国に帰って戦闘準備をしろ」と諭されたと言われている。
正則も豊臣恩顧の大名達と共に豊臣家と徳川家の間を取り持っていたが豊臣恩顧の大名が相次いで死去してしまってからは、幕府に絶対恭順の姿勢を打ち出すようになる。一人では何もできなく
なったのである。そして大坂の陣の折も江戸城に留まるように命令され豊臣家が滅びるのを何もできずに見届けざる得なかった。
そして家康死去後ほどなく無断で城を修理したとされ大幅減封され川中島で余生を過ごすのである。そして死去してからも家臣が無断で火葬したとされ福島家は改易された。
文字通り徳川家の良いように使われた後半生であった。
総評
福島正則は、戦国の世でしか生きられない男であったと思う。彼は、戦場で戦っている時には、ひときわ輝いている。常に先陣で戦い、数々の武功を常に誇っている。喜怒哀楽が激しく、
自分が正しいと思ったら一直線に進んでしまう性格であったと言われる。
秀吉死去後に徳川家康にその性格をつかれ、良いように操られてしまっている。加藤清正もそうだが正則も当初は、家康が三成を倒したあかつきには、天下を豊臣秀頼に返すと心底信じていたのである。
しかし家康からみれば正則は赤子のようなもので豊臣政権から見れば裏切り者の急先鋒に仕立てられてしまった。
関が原後は、約50万石の大封を与えて中国地方に追いやっている。しかし正則が加藤清正と違ったのは、覚悟の差である。正則は、名古城普請で清正に愚痴を吐いたとき、清正は「嫌だったら謀反を起こせ、
無理だったら潔く従え」と話したというがこのとき、清正は熊本城で一線交える覚悟ができていたのだろう。
しかし正則はその覚悟がなかった。熊本城が完成し家康が清正の覚悟を確信し清正を暗殺した(管理人は、清正暗殺説に強く同意したい)が正則はそうでなかった。大阪の陣で秀頼から誘いを受け大阪城に
入城しようとしたと言わているが家康に先手を打たれ江戸に足止めされてしまい、家康死去後には半ば言いがかりで大減封されている。
後の時代からみると家康に良いように使われ捨てられたように見えても仕方ないと思う。彼は減封後の約5年間どのような思いで過ごしたのだろう。きっと悔しくて悔しくて死にたいくらいだったのではないか。
彼の無念さがにじみ出てきそうな晩年である。
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